ベーシックインカムについて

「AIとBIはいかに人間を変えるのか」(著:波頭亮)

 

こんにちは、そんぽです。

 

本日は「AIとBIはいかに人間を変えるのか」(著:波頭亮)における、ベーシックインカム(BI)に関する内容をまとめたいと思います。

 

ベーシックインカムとは、性別や年齢、所得水準に関係なく、すべての人が国から定期的に受け取ることができる社会保障制度を指します。

この制度の魅力は、そのシンプルさにあります。具体的には、BIの受給に関する手続きや調査は不要で、「国民であること」だけが条件として求められます。給付金額は一定です。

 

現行の社会保障制度にはいくつかの問題点があります。

受給者は自ら窓口に申請する必要があり、生活状況や家庭訪問、資産の調査など、多くの手続きが求められます。そのため、受給資格がある約1000万人のうち、実際に受給しているのは200万人だけです。

 

 

2005年から2015年の間に、日本の富の集中が顕著に進んでいることも注目されます。

・企業の内部留保が202兆円から378兆円に増加
・富裕層の金融資産が213兆円から272兆円に増加
・1億円以上の資産を持つ世帯数は87万世帯から122万世帯に増加
・資産が0の世帯は1,550万世帯から2,366万世帯に増加

 

日本の経済状況が上記のような事態に陥った背景には、いくつかの本質的な原因が挙げられます。大きな原因として経済の成長停滞と非正規雇用の増加は所得格差を拡大させ、多くの世帯が経済的困難に直面することとなりました。また税制や社会保障制度が再分配の役割を十分に果たしていないことも、富の集中を助長する要因です。

 

トリクルダウン理論」によれば、富裕層の富が一般市民にも分配されるはずですが、グローバル化の影響で、国内の大手企業や富裕層の資金が国外に流れてしまいます。

この結果、国内の経済成長率が低下し、トリクルダウンの効果を感じることが難しくなっています。

 

ベーシックインカムは財源的に実現不可能という議論もありますが、この本では以下のような提案がされています。

 

ベーシックインカムの実現に必要な財源

月額8万円を日本の人口約1億2700万人に給付するための年間財源: 122兆円

 

○既存の予算から確保できる金額:

国民年金基礎年金: 22.2兆円

生活保護の生活扶助費: 1.2兆円

雇用保険の失業保険費: 1.5兆円

・厚生年金: 32.4兆円

→既存の予算から合計57.3兆円を確保できる。

 

○追加で必要な財源:

国民負担率を60%に引き上げる

→2014年度の国民所得43.1兆円を基にした歳入額は76.7兆円になる。

 

要するに、ベーシックインカムの実現には年間122兆円が必要で、既存の予算から57.3兆円を確保し、残りの64.7兆円は国民負担率を60%に引き上げることで確保するという計画です。

 

 

このプランでは医療保険は含まれていないため、医療サービスの品質やアクセスが変わることへの危惧はなく、その点でも安心感が得られます。

さらに、国民負担率を60%に引き上げるという提案は、一見高額に感じるかもしれませんが、北欧諸国のような高福祉国で実際に適用されている負担率と比較すると、その差はそれほど大きくありません。

重要なのは、負担率が高いことよりも、その財源がどのように使用され、どれだけの公共サービスが提供されるのかという点です。国民負担率を上げることで、より良い公共サービスや社会保障を実現することができれば、その増税は正当化されるべきでしょう。

 

では、また会いましょ〜